第5章 深海スターブ
レオナとラギーが黄金の契約書(イッツ・ア・ディール)について種明かしをしていくと・・・アズールは、ずっと低く唸っていた。しかし突然・・・!!
「あ~~~~~!!!もうやだ~~~~~~!!!!」
と突然子供のように大声でわめき始めた。
その後も小さな声でブツブツと何かをつぶやいていた。あまりの普段との差にレオナもラギーも驚いていた。
「ああ、もぉすべてがパァだ!!なんてことをしてくれたんだ!!アレが無くなったら…僕は…僕はまた、グズでのろまなタコに逆戻りじゃないか!!」
そんなのは嫌だ・・・と譫言をつぶやきながら彼の足元がどんどん黒い靄が覆い始めた。ラギーもさすがにヤバいと感じたのか・・・
「アズールくん、ほら…ちょっと落ち着こ、ね?」
「うるせ~~~!!お前らに僕の気持ちがわかるもんか!!」
と、過去の自分の事を言っているようだったがあたしにはよく分からなかった。すると、急に冷静になったと思ったら急に笑い出した。
「…ふ、ふふ。あぁ…そうだ…。なくなったなら、また奪えばいいんだ…。くれよ、なぁ、お前らの自慢の能力…僕にくれよぉ!!!」
と叫んだ。
すると、アズールは周りにいた生徒達から何かを吸い取り始めた。
「そこのお前の雷の魔法、その隣の奴の運動能力。全部、全部僕によこせぇ!!」
ラギーもレオナもこんなアズールは見たことないようだった。
どうやらあの契約書はそれを介さないと相手からすべての力を奪ってしまうようで契約書はある意味それを抑制するための物だったようだ。
まわりの奴から力をどんどん奪っていくアズールだったが、ふと彼の目があたしに向いたことに気が付いた。
「そうだ…お前だ…。お前の力がずっとほしかったんだぁ!!!!」
と、突然ラギー達からも離れていたあたしに接近してきた。
何かの魔法を使っていたのか、レオナやラギーが反応するよりも早かった。