第5章 水の音
テレビであろうチカチカする四角い光を少しの間見つめたあと、
ぼんやりとしている視界を黒崎に合わせるが、その表情は見る事が出来ない。
彼は黙っている。
AVも彼に合わせるようにして急に静かになってしまった。
「信じたっていうか・・・」
彼のその能力はたぶん本当にあるものなんだよ。と言ってしまった時、そのエピソードは話せないと思い躊躇する。
向こうに歩いて行った黒崎君がリモコンでTVを消して戻ってきた。
・・・無言。
黒崎君は目の前に立って私を見下ろす。
そして、黒ぶちの眼鏡に手をかけて・・・
その眼鏡をはずした。