第4章 そこから見えているセカイ
「・・・ここには確かに線があってここからそっちには早瀬さんの世界。こっちは僕の世界があるんです。」
「・・・じゃあ、私は黒崎君の世界で作られた距離を通して私宛の黒崎くんを見てるってこと?」
「それにプラスして早瀬さんの世界で作られた、僕はこういう人だろうって意識も入るんです。」
異なる2つの世界を通して見えてくるモノ。
「そうすると、全然別人になっちゃう?」
「どうかな・・。僕の中では結構早瀬
さんには見せてる方だから、半分はホンモノ。半分は作られたものでできている感じですかね。」
「なっ…半分は作ってるんだ。」
半分作られていると言われたことに、かなりのショックを隠しきれない雪菜に対して、黒崎は微笑む。
「ほとんどの人はそんなもんですよ。僕みたいに自分の世界を広くとって距離を置きたがるヒトのほうが多いと思います。」
自分の世界を広くとって・・・距離を置きたがる。
彼が、他人に本心を見せず距離を取っているのはなんとなく感じていたから、イメージはし易い。
「・・・だから反対に、早瀬さんみたいな基本ゼロ距離で自分の世界をまるだしにしているヒトは、本来すごく見やすい分かりやすいものなんですけどね。」
「まるだし・・って。なんか馬鹿っぽい。」
「馬鹿かは置いといて、レアはレアです。」
「え、レアって言われたって・・・」
雪菜は反応に困る。