第89章 もうひとつの家族
「ん……?」
三人分のはずのそこにはもう一つプレートがある。
そこには水琴の名前が彫ってあった。
ご丁寧に漢字だ。そういえば以前水琴の名前はどう書くのかと尋ねられたことがある。
見たことのない文字に興味津々だったサボについ調子に乗って色々な文字を教えたことがあったが、覚えていたのか。
「お前はここな」
「私も使っていいの?」
「稽古つけてもらってるから、完全な部外者でもないしな。“しはんやく”ってやつだ」
「“指南役”な」
エースの言葉をサボが冷静に訂正する。
そして水琴に向かってにっと笑いかけた。
「ま、“これからもよろしく”ってことだよ」
「………」
三人だけの独立国家。
そこに水琴の入る余地はないのだと思っていた。
でも、当然のように三人は水琴をその中に加えてくれていて。
それが言いようもなく、嬉しい。
「ねぇ。名前があるならご飯持ってきてもいいよね?」
「それとこれとは__」
「いいぞ!水琴の飯、これからも食いてぇ!!」
「昼御飯だけとかなら別にいいでしょ?」
「……まぁ、それくらいなら」
しぶしぶと頷くエースの横でサボが顔緩んでるぞ、と余計な突っ込みを入れエースに殴られている。
それを見てルフィと水琴はさもおかしそうに笑うのだった。