第86章 家族の在り方
「マキノー!」
「ルフィ!」
名も知らぬ女性は突然消えたと思ったら、三人の子どもを連れて戻ってきた。
その中の一人、大きな麦わら帽子を被ったルフィがマキノを見つけぱっと駆けてくる。
飛びついてくる小さな身体を抱き留め、マキノはぎゅっと抱きしめた。
まだ数か月しか経っていないというのに、随分と大きくなったように感じる。
「久しぶりね、元気にしてた?」
「おう!おれな、友だちが二人も出来たんだ!」
得意満面にそう言うルフィの背後では少し年上の男の子が二人並んでルフィの方を見ていた。
友だち、という言葉に青い服の少年は照れ臭そうに笑みを浮かべ、黒髪の少年はやや気まずそうに視線を彷徨わせている。
「そう、良かったわねルフィ」
ふふ、と笑えばおう!と満面の笑みが返る。
「エース、サボ、ちょっと台車直すの手伝ってくれない?」
「お前それでおれたちのこと呼んだのか」
「だって私だけじゃ無理だもん。ほら、二人だってマキノさんの料理食べたいでしょ?」
「マキノの料理はすっげーうめェんだぞ!」
「へー!そりゃ楽しみだ」
「ったく、しょうがねーな」
得意というのは本当のようで、あっという間に台車は元の様子を取り戻す。
壊れる前よりもスムーズに動く車輪に、台車を引く村長はおぉ、と軽く感動していた。
「それじゃ案内しますね。みんなも昼だから一緒に帰ろっか」
「やったー!めーし、めーし!」
「ルフィ、はしゃいでるとまた転ぶぞ!」
「待てよ二人とも!」
途端に駆けだすルフィの後をエースとサボが慌てて追う。
そんな子どもたちの背を見送り、大人たちもまた台車を引き歩き始めた。