第76章 海賊
__海賊にも、色々いるんだよ。
ふと水琴の声が過ぎる。
しかし目の前にいるのはどう見ても水琴のいう本物とは程遠い。
__やっぱり、海賊なんてどれも同じじゃねェか。
心の中でエースは毒づく。
「どりゃぁぁあああ!!!」
痛む身体を無視し駆け出す。
速度を付け振り上げた鉄パイプは、簡単に剣で受け止められた。
「!!」
「生意気言ってんじゃねェよ」
がっ!!と首を持たれ宙吊りとなる。
「ぐッ……!」
「見逃してやると甘く見りゃ可愛げのねェ」
「へっ、海賊なんかに見せる可愛げなんざありゃしねェよ」
ぺっ、と唾を吐きかける。
ぴきり、と海賊の額に青筋が浮いた。
「__痛い目見ないと分からねェみてェだな」
そのまま力強く地面に叩きつけられる。
「っ!!」
手をつき、震えながら立ち上がろうとするエースの腹に海賊の容赦ない蹴りが入った。
「ぐあ……っ!」
そのまま通りの隅に積まれた樽へ突っ込む。
頭を打ったのか、くらりと視界が揺れた。
「死んだか?」
「いや、まだ息がある」
「面倒だな。これでヤるか」
がちゃりと撃鉄が起きる音がする。
やばい、と思うがエースの身体はぴくりとも動かない。