第63章 絶望の中に見える光
背後で銃声が聞こえる。
聞こえるはずのないそれにビビは反射的に振り向き眼下を見下ろした。
”背後から”撃たれたコーザが反乱軍の前に倒れ込んでいく。
「争いを止められちゃあ困る。その通りだ。”だからこそ”止められないように策を弄しておくとは考えなかったのか、なァ?」
「__バロックワークス……!」
砂塵に紛れ反乱軍側からも国王軍を狙い銃弾が放たれる。
降伏の白旗を上げたうえでの反乱軍リーダーの襲撃、止まぬ銃声。
一度終わると思わせたからこそ、再度燃え上がった争いの炎は以前よりも激しさを増し猛威を振るう。
互いの雄たけびが上がる中、再び両軍は最悪の状態で衝突した。
「逃げなさいビビ!その男から逃げるんだ!!」
「__いやよっ!!」
コブラの声にもビビはその場を動こうとしない。
「まだ……十五分後の砲撃を止めれば、犠牲者を減らせる……!」
「__あーすれば反乱は止まる、こーすれば反乱は止まる。
目ェ覚ませお姫様。お見苦しくて敵わねェぜお前の理想論は」
あがくビビにクロコダイルはゆっくりと近づく。
そして首を片手で掴み宙へと吊り上げた。
ビビの足が空へと浮く。
足元には争いの続く広場。
「うっ……」
「”理想”ってのは実力の伴う者のみ口にできる”現実”だ」
「見苦しくったって構わない……理想だって捨てない……っ
お前なんかにわかるもんか!私はこの国の王女よ…お前なんかには屈しない!!」
たとえ、絵空事だと言われようと。
現実を見ろと笑われようと。
諦めない。
決して捨てない。
「私は__この国を……っ」