第103章 グランドラインへ
水琴の前できらきらと鉱石は輝きを放つ。
命などというのは眉唾物だが、食料など痛まずに保存できるならとても便利だ。
しかし鉱石の大きさはお世辞にも大きいとは言えず、せいぜいが果物ひとつ入れる容器を作れるくらい__
ふと水琴は思い出した。新世界でも特殊な、エースの腕にあったログポース。
__この鉱石があれば、もしかしてあれを模したものが作れるのでは?
「……おじさん。ものは相談なんだけど」
ごにょごにょと水琴は職人へ耳打ちする。
「__ってできないかな」
「おもしれェ!そんなこと出来んのかいお客さん」
「分からないけど」
「試してみる価値はあるな!職人の腕が鳴るぜ!!」
ついてきな、と職人は水琴を奥へ案内する。
水琴もそれについて奥へと消えた。
***
人が行き交う通りでエースは一人佇む。
見つめる先には年代を感じさせる処刑台があった。
かつては全世界の注目を集めていたそれに目を向ける者は今となっては誰もおらず、目の前を足早に通り過ぎていく。
__おれの財宝か?欲しけりゃくれてやる。
__探せ!この世の全てをそこに置いてきた!
かつて。
男が放った言葉は大きな時代のうねりとなり人々を大航海時代へと駆り立てた。
そしてそれは同時に、多くの人間の人生を狂わせるものでもあった。
「………」
ぎり、とエースは拳を握る。
「__見てやがれ」
おれは、この海で名を挙げる。
最強まで上りつめ、てめェを超えてやる。
おれはその為に。
その為だけに海賊になったんだ。
かつて盃を交わした兄弟たちと誓った日のことを思い出す。
悪名だろうが何だろうが構わない。おれ自身の名を、生きた証を。
たとえ恐怖でだろうと人々の心に、世界に刻み付ける。
それだけが今のエースの原動力であり、想いの根源だった。