第2章 伝えたい恋心と鶴丸国永.. 𓈒𓏸
午前中、鶴丸は書類仕事中の美桜を驚かせたあと、一旦その部屋を出ていた。
昼食の合図の鈴が鳴ると、白銀の髪を揺らしながら軽やかに食堂に現れる。
「おっ!今日もご苦労さん、相変わらず美味そうだな!」
その声は、燭台切と歌仙に向けたものだった。
書類仕事を終わらせ、私と一緒に大広間へ来た長谷部の紫がかった瞳が、
ちらりと美桜の隣の席を映し、腰を下ろそうとする長谷部へ鶴丸の金色の瞳が向けられた。
その視線は軽く牽制するようで、長谷部はわずかに眉をひそめながらも、そっと別の席へと体をずらした。
鶴丸はそのまま美桜の隣に腰を下ろし、
自分の箸で焼き魚の切れ端を取り分け、私の目の前に持ってきた。
「ほら、光坊が今日の魚は美味いと言っていたぞ!」
唐突な距離感と私に食べさせようと差し出されたお箸に、
私は一瞬戸惑ったが、すぐに微笑んでお礼を言って
差し出されたお箸に乗った魚の身をパクリと食べると
口元に手を当てて飲み込み
『ありがとうございます、鶴丸さん』
そのやり取りを横目に、歌仙は小さく息をつく。
「鶴丸、君はまたそうやって……」
と呟きかけたが、言葉を飲み込む。
燭台切は目線だけで歌仙に合図を送り、静かに肩をすくめる。
「(鶴さんったら、また……)」
その顔には呆れ半分、慣れ半分の穏やかな笑みが浮かんでいた。