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黒尾くんと同級生ちゃん

第15章 もう1人の親友



「......まさか、黒尾とか言う? 」


ああ。

しくった。

ここで、『違うよ』と演技ができるタイプなら良かった。


『......ごめんなさい。』
「は? なんで謝るんだよ。」
『...やっくん、そういうので部活に来られるの、嫌かなって...。』


私の言葉に、やっくんはようやく手を止めて私の方を見てくれるけど。
私はこの邪な気持ちが申し訳なくて悪いことをしたのがバレた子どものようで、やっくんの顔を見れない。


「誰が誰を好きになろうが、他の奴がとやかく言う権利ねーだろ。」
『そうだけど...』
「まぁ部活中にイチャコラされてたら流石にうぜえけど。別にそーでもないしな。むしろ働きすぎてて感謝してるくらいだわ。」
『それはありがとう...。』
「つーかお前、迷惑かけたくないとか、そんなふうに思うくらい部のこと大事にしてくれてたんだろ? なら俺はそれで十分ってかさ。バレーできればいいし。」


男前...。不覚にも思ってしまった。やっくんなのに。
いや、なのに、は余計か。


「で? 黒尾と他の女が来たって? 」
『うん...。』
「......黒尾に彼女ねぇ...」
『やっくん、聞いてないの? 』
「あんまそーゆー話しねぇからなぁ。」
『あぁ、想像出来る。』


愛だの恋だのを相談してるよりも、部活やバレーのことを話してたい3人だし。


「でもまだ、本人に聞いたわけじゃないんだろ? 」
『何を?』
「本当にその女が、彼女かどうか。」
『えぇ、怖いよ!! 』


それで、「彼女だよ」と黒尾くんに言われたら。
どうしたらいい?
ただでさえ、こんなにショックを受けているのに。

そこでふと、美華の、「お姉さんパターンかもよ」という言葉を思い出した。

『...黒尾くんには聞けないけど、やっくんには聞ける...。』
「いや本人に聞けよ。」
『誰もがみんなやっくんみたいに猪突猛進じゃないの! 』
「難しい言葉使うんじゃねえ。」
『それはごめん。でさ、』


私は、やっくんの目を見て、聞く。


『黒尾くんって、お姉さんとか、いたりする? 』


やっくんと目が合う。
お願い。
いてほしい。
そしたら、昨日のあの光景も、もしかしたらお姉さんかもと、思えるから。


「...いや、俺は聞いたことねぇな。」
『......そっか....。』
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