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【アクナイ】滑稽な慈悲

第8章 全てを見透かしていた者



重苦しいスライド式のドアを開くと私を先に中に通すレディーファーストを見せた。あの大帝の下に就いているのだ。礼儀習っているのだろう。クーリエの人柄の良さがよくわかる。

そんな彼の視線を追うように、部屋を眺めた。
まず今いる部屋は普通のロッカールームで、ベンチが置いてある。右には小部屋があるようだ。

この部屋前方にはまた強固にできた扉と普通の引き戸のドアが2つあり、片方が大きく、片方は人ひとりが通れるほどの普通のドアだ。その内の大きい方を手でコン、と叩くとクーリエは言った。


「この扉を越えた先は壁や床、天井に至るまで超強固にできていて、傷はつくことはあってもまず壊れることはないよ」

「こっちは?」

「こっちは見学席だよ」

「あっちは?」

「あっちはシャワールームだよ。自由に使って良いらしいね」

「なるほど…」

「じゃあちょっと入ってみようか」


クーリエが再びドアを開いて私を中へ通す。

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