第17章 深い謝罪と感謝
「さてー…もう一仕事するかなー…」
緩い話し方に戻しつつ、ドクターは執務椅子に腰かけて肩を回している。
邪魔してはいけない。早々に出て行こうとしたが、まだ気がかりなことがあるため、彼の下に近付いた。
「そういえばドクター、今日眩暈があったんですが、私の健康データに悪いところはありましたか?」
「ん、いや。君のデータは研究部から逐一送られてくるから把握しているが、特に悪いところはない。…眩暈?」
ゆっくりと頷いた。
「今日食事を終えた後、食堂から出る時に立っていられないほどの眩暈がしたんです」
「ふむ…眩暈全てが悪いというわけではないが…一度のもので把握できるわけではないからな…またあったら言ってくれ。すぐに精密検査にかけよう」
「ありがとうございます」
本当はこの後、私の身体データが横に流れているんじゃないかと問いたかったが、そんなことはないのだろう。私はそのまま執務室を出た。
さて、この後どうしようかな。と思っていた時だった。
「こんにちは、さくらさん」
「!こんにちは、アーミヤ」
「ドクターに用でしたか?」
「いや、もう終わったんだ」
「あぁ、ならドーベルマン教官が探してましたよ。デッキにいらっしゃるかと思います」
「ほお。了解。ありがと!」
そう言うと、アーミヤはにこやかに笑う。
こんな小さな子がこのロドスのリーダーなどと、今でも信じられない。
が、その指揮能力と信頼は誰にも代えられない。とても上に立つに相応しい人間だ。
そんな彼女に手を振り、デッキへと向かっていく。
一体、用とは何だろう?