第2章 プロローグ
見たところ彼は先生のようだ。
金髪に長身、凛々しい眉…。
(あれ、この人、、どこかで、)
見れば見るほど惹き込まれてしまうその琥珀色の瞳に、舞は完全に囚われていた。
人混みの中、彼らの間の時間だけは止まっていた。
「おい舞、どうしたんだよ 」
「あっ、善逸」
だがそれも一瞬。
善逸の呼び掛けに我に帰った彼らは、バツが悪そうに目を逸らした。
「すまなかったな!紫色少女!」
にこやかに手を振った彼は、舞とは反対方向に向かって歩いて行った。
(まるで、太陽のような人)
舞は心の中でそう呟いた。
…もしかしたら前世で何か関係があった人なのかもしれない。
「煉獄先生さあ、全っ然俺の名前覚えてくれないんだよね。俺いつまで"黄色い少年"なんだろう」
「煉獄先生?」
舞が不思議そうに首を傾げて聞き返すと、善逸は寂しそうな顔をして「そっか」と呟いた。
耳の良い彼の事だ、きっと音で全てを察したのだろう。
(それにしても……。煉獄先生……か、なんとなく知ってる気がする……。宇髄さんに聞いてみようかな…)