第7章 猛れ!体育祭!
パン!
勢いの良いピストルの音が鳴ると同時に走り出す何人もの生徒。
それは舞とて例外ではなく、運動部に混じり先陣を切り周りを追い抜いて走っていた。
「舞、頑張ってね」
「はっ、あ、カナヲ!!」
ふと現れたカナヲは、にこりと微笑み舞を抜かす。
その圧倒的な速さは、さすが上級生と言うべきか。
「はあっ、はっ、、」
目の前には何人もの選手。
背中に煌めくのはそれぞれの部のスローガン
走れば走るほどに入れ替わり速くなって行く他部活の部員に、1人だけの寂しさを感じた。
(みんな速くない!?こんなことなら少しくらい練習しとけばよかった〜っ!!!)
舞は頭の中で練習をしなかった後悔をひしひしと感じた。
宇髄まであと300m。
このまま上位を死守するのは難しい…、
全力で走る代償としての体力も、もうすぐ底を尽く。
(もうダメかも……!!!)
舞が心の中でそう叫んだその時だった。
「舞!!!あと少しだ!!!」
校庭を突き抜けるような力強い宇髄の声が、舞の耳に入った。
普段公の場では"紫色"と呼ぶ筈なのに、今に限っては"舞"と呼ぶ宇髄。
それは流石にまずいんじゃないかと感じた舞だったが、宇髄の思いをしかと受け止め、さらに強く拳を握り、鉛の如く重く感じる足を上げ、加速した。