第37章 最終章〜あなたが与えてくれたもの〜
ケイティは結婚式も一緒にやろうと言ってくれたけど、私にとってはあの南の島の小さな教会で、2人で交わした誓いとキスが一生に一度の結婚式で大切な思い出で、それは信長も同じように考えてくれていたらしく、今回は披露宴だけをすることにしてもらった。(市と玲衣はブライズメイドだからメインの役割がなくなりとても残念がってたけど…)
「新婦様お時間です」
「あ、はい」
歩くたびにサラサラと音のするウエディングドレスに感動しながら、一緒にヴァージンロードを歩くことの出来なかった父と2人で披露宴会場のドアの前まで歩いた。
先に待つのはタキシードを着て優しく微笑む信長。
差し伸べられた彼の手を掴んで、父から信長の隣へと移動した。
「……っ、」
打ち合わせで何度か見たから初めてじゃないけど、私の旦那様は何を着てもカッコいい。
「綺麗だな」
「ふふっ、ありがとう。信長は、いつも通りにカッコいいね」
「当たり前だ」
本当に俺様で信長様だ。
これさえ言わなければ…と思うけど、本当にカッコいいのだから仕方がない。(そして大好きだし)
「セナ」
曲げられた彼の腕が私の前に差し出され、私はその腕に自分の手を添えた。
「信長…私を幸せにしてくれてありがとう。これからもずっと大好きだよ」
「俺も愛してる。貴様に出会って俺の全てが変わった。幸せだ」
笑顔が近づいて、そっと触れるだけのキスが落ちる。
「式はこれからだ。まだ泣くなよ?」
「…っ、じゃあ泣かせること言わないで…」
信長に出会って、私も全てが変わった。
「もっといっぱい幸せになろうね」
「ああ、そうだな」
信長の幸せな笑顔を見てまたもや感動で目頭がじんわりとしだした時、披露宴会場のドアが開いた。
披露宴は、演奏中だったはずの謙信さんが誰よりもお酒を飲んで、信玄さんが私の友達をナンパし、政宗さんが途中から厨房に勝手に入り込んで料理を振る舞ったりと終始賑やかに過ぎて行き、一生忘れられない最高の日となった。