第5章 慣れてきた時こそ
『ば、爆豪さん!どうして…』
「うるせぇ!黙ってろ!!」
『は、はい』
───俺だってわかんねぇよ!!テメェみたいなザコ助けたところで何のメリットもねぇはずなのに!クソッ…!
爆豪自身も己の行動に疑問を抱き葛藤していた。そして未だに突破された原因が分からず、学校側からのアナウンスも放送されないため生徒は皆パニックに陥っていたその時
『──っ!!』
爆豪の腕の間にいた言が突然息を荒くして頭を抑え始めた。爆豪は明らかに普通ではない言の反応を見て声をかける。
「おい、どうした」
『っ…爆豪…さ、ん…ごめっ……』
「あ゛!?聞こえねぇよ!!」
立っているのもやっとなのか言は壁にもたれ掛かりズルズルと下がっていく。次から次にへと起こる問題に爆豪は苛立ちを覚え強い口調で言に声をかけるが、そんな強い口調とは打って変わって倒れかけている彼女の体はしっかりと支えていた。
「皆さん…大丈ー夫!!」
そして食堂の先にある廊下から大きな衝撃音と飯田の叫ぶ声が聞こえ、それと同時に言は気を失った。
「本当っなんなんだよ…」
爆豪は自身の腕の中で気絶し、完全に力が抜けきった言を抱き抱えながら切実に今一番思ったことを吐き出した。