第44章 ホークス オリジン
「この非常食は食べればフルコースが味わえるシロモノだ」
ゴクリと喉が鳴る…どこかの児童書に有った魔法の食べ物が私の前に差し出される。
お腹の音が鳴り響き顔を赤くした私を心配して、技術者の方が非常食を何個も出してきてくれたのだが出されるものが全て怪しい
その中でも気になったのがこの食べればフルコースが味わえるモノだった。
食べるべきなのか、食べないべきなのかを悩んでいると、目の前の人があーんと言って口に入れようとしてくれる。
その姿を確認した周りが何故か私を押さえて口を広げさせる
「ほら、早く食べなさい…美味しいから」
先ほどまで優しく接してくれていた人達が息を荒くして食べさせようとしてくる光景が、発目さんが出してくるヤバイアイテムを思い出した。
「(これヤバイやつだ!)」
バーンと大きな音がした
先ほどまで私を押さえていた人達は床へと転がっていた…私はといえばホークスの腕の中に収まっている状態だった
私の口の中へ食べ物を入れようとした人がゲボゲボと咳を始めた
「凛ちゃん大丈夫だった?…ここの変なおじさん達から食べ物貰ったらダメだよ?」
「え?どう言う事?」
「オェッ…まずっ」
そう言って床を転がり回る
「この人たち、ほとんど趣味で非常食開発するんだけど…上手に出来ないからって人に食べさせようとするんだよね…技術者って…なんか、人で試したいんでしょ?」
そう言われて少し考える
「なんか…ちょっと分かるかも…」
「やっぱり、凛ちゃんもそっち系か!…そういえばお腹減ったって聞いたよ…オススメの場所連れて行ってあげる」
そう言われて嬉しくなった。
更衣室に入り制服に着替えて出ると
「ホークスさん!オレ達は!?」
「凛ちゃんに変なもの食べさせようとしたからダメ!…けど、夜に凛ちゃんの歓迎会するから全員参加で!」
そう言うと奢りだーと全員が騒ぎホークスの顔が少し引きつった。
この事務所はワンマンなようでそうじゃないようだ…
社員証を首から下げられてホークスの隣を歩く…急に抱き抱えられて窓に近づけばまたホークスとの空の散歩だ。