第61章 異変
忍者の世界では、その組織から脱することは絶対に許されない。
それは所謂「忍の掟」というものだ。
忍は絶対秘密主義。
里の結束力によって、安泰を保っている忍たちにとって、内部情報を持ったままその管理下から抜ける者は、とてつもなく危険な存在だからだ。
そうした経緯から、その里の忍者を辞めるという行為は、自決に等しく、過酷な運命が待ち構えている。
(それでも、木の葉の里にも、数人の抜け忍が存在するのよね。)
いったい彼らは何のために、里を捨てるのだろうとさきは不思議に思っていた。
(いや…むしろ逆の発想で、例えば里は言わば、鎖国した日本と同じで、何か全く別の角度からこの忍の世界を見てるとすればどうなんだろう)
「それで、抜け忍がどうかしたのか?」
険しい表情を浮かべるさきの顔をコテツが覗き込んだ。
『あ…いやちょっと気になっただけ~っ!だから大したことないかもって言ったでしょ?』
余計なことは伏せておこう。
さきはニコニコと笑顔を振りまいて誤魔化した。
「おかしな奴だな」
「まったくだ」