第1章 *テニプリ*仁王雅治*
立海大付属中学校へ入学して早数ヶ月。
目まぐるしく過ぎる日々を過ごしながらもようやく学校に慣れ、友達もでき楽しい学校生活を送っていた。
文武両道を掲げたこの学校はその言葉通り、勉強にもスポーツにも力を入れていて特に部活動においては素晴らしい成績を残す部が多数ある。
立海大付属中学校といえば有名なのはテニス部。
全国大会2連覇という偉業を成し遂げたテニス部には毎年多くの入部希望者がいるとかいないとか。
なんで曖昧なのかって?
それは私が運動音痴だから。
昔からスポーツは苦手だった。
最初から美術部に入ると決めていたので他の部活のことはまったくわからないのだ。
そんな私が所属している美術部の部室からは広いグラウンドが見える。
一番近いのはテニスコート。
さすが力を入れているだけあって設備も整っていて多くの部員が所属している。
見てるだけだととても楽しそう。
体育の授業でもテニスをやったが、いざやってみるとまったく動けないものなのだ。
しかしなんとなく上手い下手くらいはわかるようになってきた。
あそこで空振りばかりしてるのはきっと新入部員だろう。
よく目を凝らして見てみれば同じクラスの男の子だ。
隣のコートで打ち合っているあの人は上手。必ず相手のコートへ綺麗に返している。
素人の判断基準なんてこんなものだろう。
返せるか、返せないか。