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恋のはじめかた【名探偵コナンR18】

第14章 二人の選んだ道


仕事を終えて、こっちで借りてもらってるマンションに帰る。

ちょっと寂しい気分の日は、零くんの好きなのとか、一緒に食べた記憶のある料理を作ることが多い。

今日はセロリとベーコンの炒め物と根菜のスープだ。セロリは零くんの好物、だけど今では私の好物でもある。


静かな部屋の中、黙々と食べ進め、ほとんど食べ終わった頃、突然スマホが鳴り出した。

画面を見れば、発信元は日本の見知らぬ番号。

もしかして……!と、一気に緊張感が高まり、スマホを両手で握りしめる。


「もしもし!」

「……元気そうだな」

「うん……久しぶり」


零くんからだった。日本は今……朝か。


「風見から何も聞いてないってことは、何も変わらずってことでいいのか?」

「だね。零くんは……?」

「まあ順調だな……次に日本に帰ってくる日って決まってるか?」

「次はまだ決まってない、けど……」

「けど?」

「別に……なんでもないよ?」

「……なんでもあるだろ……どうした」


今“寂しい”とか“会いたい”なんて言ったら、零くんはどう思うか。忙しいだろう彼に、そんな事言うべきじゃないと思ってるから、つい何も無いフリをしてしまう……


「どうもしないって」

「ふーん……?じゃあ、今度の帰国決まったら風見に連絡入れておいてくれよ、久しぶりに会いたい」

「えっ!?会えるの!?」

「ああ。最近割と自由に動けるようになってきたからな」

「わ、わかった!」


嬉しすぎる言葉に心が踊る。こんなに胸が高揚してるのはいつぶりだ。


「分かりやすいよな、は」

「え?」

「強がらなくていいから。僕に変な気は使わなくていい」

「……バレてる?」

「バレバレだ。少しくらい寂しがっててくれる方がちょうどいい」

「……そりゃあ、寂しいよ……でも会えなくても頑張るって決めたし……」

「……」

「ん?」

「なるべく早く終わらせる、もう少しだ。早くの花嫁姿が見たいからな……」

「れ、零くん……」

「最近そればっかり考えてる」


私だって考える事はある……実際それがあるから頑張れてる訳で……でも口に出して言われると、どうにも照れくさくて。顔がニヤけてしまう。


その後もしばらく会話は続き。三十分は喋ったか。久しぶりの長電話だった。
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