第10章 鬼と花
髪にぶら下がる鬼灯がチラチラと光る
珠世さんの屋敷に戻るとすぐに珠世さんと愈史郎さんとアルさんに自慢していた
てっきり椿の花があるようなものを選ぶと思っていたけど、それは私の勘違いだった
「紫娜さん 椿さん もう一度血をいただけないでしょうか?」
「構いませんよ?」
椿は嫌そうだけど...
「紫娜さん 少し私の部屋に来たください
その時、外に出ているグラスを持ってきてください」
グラス?
そういえば話があるっていってたね
「珠世さん 失礼します」
地下にある部屋に入ると
珠代さんは何かものを書いていた
「紫娜さん、アルさんと椿さんのことです」
「椿もですか?」
顔が曇っている
珠世さんの瞳が語るのは
悲しさと悔しさ
こんな時に聞く話に
いいことは大抵ない
「アルさんは理性を保ち続けられています
鬼になった今でも人として生き、鬼舞辻の呪いから外れたのかもしれません」
鬼といていいのか口が籠もる
私の中の鬼は命を平気で弄ぶ者を言う
そこに珠世さんや愈史郎さん、禰豆子ちゃんは入っていない
悲しいことに紫遊佐はいるけど
だから初めて蜘蛛の山で胡蝶様が仰った
鬼と仲良くする
という話に少し気が向いたのは確かだった
人を食べるのは生きるため
でもこの考えは
私の中で矛盾を起こさせ、
空回りしていく