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かわいいひと 【鬼滅の刃】

第14章 共感覚 (happybirthday)【宇随 天元】




この日俺は就職祝いにオヤジとお袋がプレゼントしてくれた時計を修理に出しに百貨店に来ていた

そんなに高価な時計じゃねぇが大切な物だ



そのまま帰ろうと思ったが でかい柱に

「二科展 展示 本日まで」

と書いてあり なんとなく同僚の書いた絵を見たくなった


一緒に街頭ニュースを見てから7年もかけて宇随はやっと「実知」から解放されたと思う 作品は出品前にも見せてもらったが 実知 という女の笑顔らしいが はっきりと人物を描いてなくよく分からないが柔らかな光と優しいタッチの絵は見ていると確かに朝を感じさせてくれる作品だった





会場に着いて作品を眺めていく 宇随の作品は評価がよかったのか中央に展示されていて 女が1人その絵を見ていた



閉館間近で展示の客は俺とその女くらいで 俺は静かに近づき宇随の作品を見る


「実知か…」

ただ俺は作品名を呟いただけだったが


「はい…」


隣の女が返事をして振り向く 目が合った女は泣いていたらしく眼鏡を外して涙をハンカチで拭い笑った


「すいません…名前…呼ばれたと思って…私の名前も みち なんで…すいません」



あの日…勇気が出ないから一緒に見てくれと言われた写真の中にたった1枚だけあった泣き笑いの女だった




「瀧崎…実知…か?」


「私…知り合いでしたか?」


「俺は…宇随天元の知り合いだ…実知さん…あんた生きてたんだな」


彼女は膝から崩れ号泣した




俺は自分の顔が強面だと分かってる だから隣でこうも泣かれると回りからの見てはいけない物扱いがちょっと居たたまれない


「実知さんよぉ…泣くの止められるか?回りの視線が痛てぇんだよ」



「ごめん…なさい…無理です」


まぁ…そうだろうなぁ…


なんとか駐車場まできて車に乗せた

少し走り公園の駐車場に停めて自販機でコーヒーを買って渡すとやっと落ち着いた

それから彼女の話を聞き…俺はしばらくかける言葉が出なかった


「宇随に逢いたいか?」


彼女はコクンとうなずく


「私は逢いたい…でもそれが天元にとってはいい事なのか分からない…薬を飲みながらじゃないと今も生活が不安定になるし…」


「宇随を7年見てきた俺はあんたと宇随を逢わせたいと思うぜ」


彼女と連絡先を交換した


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