第7章 匂いに酔う【竈門 炭治郎】
「何て言うか…ちゃんと知ってる感じだったから」
少し…いや…ちょっと長めの沈黙が流れ、変な事を聞いてしまった…と美桜が後悔していると
「……が……くれたから…」
蚊の鳴く声で炭治郎がぽそぽそ話す
??
「聞こえないよ?」
「宇随さんが……教えてくれたんだ」
美桜の屋敷に療養に行く事を、胡蝶しのぶが炭治郎に進めていたのを
蝶屋敷の3人娘をからかって遊んでいた宇随の地獄耳には届いていて
そそくさと準備をしていた炭治郎を庭に連れ出した
『好きな女の所に行くんだろ?女の喜ぶ扱い方を神が派手に教えやるぜ』
大人の悪い笑顔で言い、炭治郎に色々と1時間くらいかけて丁寧に教えてくれた…らしい
「だから……馴れてるように感じたのは…宇随さんのせいだよ…女の人の体は母さんと禰豆子…あと甘露寺さんしか触れた事なくて」
「蜜璃ちゃん?」
「っ…甘露寺さんは隊服があんなだし!禰豆子を撫でて もぎゅもぎゅしてたら急に」
『炭治郎くんも可愛いわ~』
「って言って抱きつかれて…だから美桜さんとは違うよ…美桜さんのは触りたかったから…ってなに言ってんだろ俺…」
しどろもどろになりながら言い訳なんだか告白なんだかを口走る
そんな炭治郎が美桜は愛しい
「蜜璃ちゃんの言う通りだ…炭治郎くんは…可愛い」
「後は…俺は匂いに凄く敏感なんだ、全集中常中を出来るようになってからは特に鋭くなって
夜の……美桜さんは……匂いがポンって弾けるんだ…ちゃんと触れると…だから喜ばせる事が出来たと……おもう…」
最後の方は声が小さくなり炭治郎は耳まで赤くしながら山を登っていく
急に静かになった美桜の体は熱くなり、鼓動が早くなっていく
ふふふっ…美桜さんの匂いが変わった
夜の事を思い出してる…甘い匂いと恥じらう匂いが交ざってる
「美桜さんも可愛いなぁ…すっごく可愛いくて大好きだよ」
炭治郎の声が耳と体に響いて恥ずかしいけど心地いい
「私も大好き」
2人で甘い匂いを撒き散らし山を登る
後ろにいた白雪が「見てられない」と言わんばかりにサッと2人を追い抜いて先に高原へと走っていった
最終決戦まであと約半年
ー終ー