第2章 夢を見ていたい。
「うわっ!出てこようとしてる!!守ってえ!凛ちゃん!伊之助でもいいからぁ!!」
「善逸、落ち着いて!炭治郎が…」
炭治郎が大丈夫と言うなら大丈夫だと思うよ、なんて言おうとするのを遮るように、善逸が飛んできた。
それと同時に、「こっちくんな!」 と言う声が飛ぶ。
伊之助、また善逸を蹴ったのか。
後でお説教コースだ。
「隠れなきゃ隠れなきゃ!!」
いつの間にか箱が開き、何かが出てくる。
凛はぐっと目に力を入れた。
敵意の色は…見えない。
一安心だ。
「…は?」
「禰豆子」
「わ、女の子だ!」
なんと、鬼というのは女の子であった。
しかもとても可愛い。
周りに女の子がいなくて少し寂しかった凛は、表情をふわっと緩めた。
“禰豆子”と呼ばれたその女の子とぱちっと目が合う。
髪は長くて、毛先が少し赤い。
「俺は!俺はな!お前が毎日アハハのウフフで…」
女の子が出てきた途端、善逸は炭治郎に詰め寄り、何やら怒鳴っている。
その間に凛は“禰豆子”に近づいた。
「禰豆子って言うの?」
「ふんふん!」
そうだよ、と言うように首をぶんぶんと縦に振った。
「私は凛。女の子いなくて寂しかったの、よろしくね!」
凛が最後の言葉を言い終わる前に、禰豆子がぎゅううと抱きついた。