第13章 戦の駒
私がうまく逃げ出したら…
この戦は止まるのだろうか?
ふっと思い
部屋から出ると、庭へ降りる
塀を越えて逃げられないかな…?
ふらふらと庭を歩いていると
「どこへ行く」
冷たい声が聞こえた
振り返ると謙信様が立っている
「………」
「逃げるのか」
「……そうだと言ったら?私を斬りますか?」
なぜか、今日の謙信様は怖くない…
いつもならこの時点で背筋が凍るほどの殺気を感じるのに…
「…いや。お前が逃げようと斬るつもりはない」
「……謙信様は今回の戦に行かれるのですか?」
「行かぬ。今回の戦は武田と織田の戦だ。」
「そうですか……」
不思議だ…
普段、謙信様と話すことなんてないのに…
こんな風に言葉を交わすなんて…