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【文豪ストレイドッグス】私と兄

第4章 ブレスレット



『え……』


黙々とまたさっきと同じように書類などを片付けていると、ある事で手が止まった。


それは今までは棚が低くて簡単に整理することができていた。


けど、次は一つのファイルを高い位置から取らないといけない。


届かない。


つま先立ちして手を伸ばすけど、全然届かない。


『無理…っ』


身長が足りなくてファイルを取ることが出来ない。


ぷるぷると身体が震える。


ずっと伸ばしている手が痛い。


『あ…っ』


無理だと諦めた時に、お兄ちゃんが後ろから手をかしてくれた。


『と、届く…?』


お兄ちゃんの身長でも届かない、かも。


「多分……」


そう言うお兄ちゃんと手が当たった。私は驚いて身体がグラッ…とよろめいた。


お兄ちゃんの方によろめいてしまって、急なことで支えられなかったのかお兄ちゃんも身体がよろめく。


その瞬間目を閉じていて、何があったのか分からない。


『いっ……』


倒れ込んで、ゆっくりと目を開ける。


すると、お兄ちゃんの顔が目の前にあった。


お兄ちゃんに押し倒されている状態だった。


前まで、よくこんな体勢でキスとかしていたけど、なんか今の体勢は違うような。


あ…この姿勢……ナオミちゃんから借りた漫画とかに出てくるシーンと同じだ……


漫画に出てくる女の子のように、私もドキドキしてる。


お互い数秒見つめあっていて、何も話さない。


この続き、よくある漫画では2人の距離が近づいて、唇同士が重なる。


でも、私達はそうならなかった。


「ご、ごめん、今退けるから」


『無理……するからだよ……』


ありがとうとか、ごめんとか言わないとなのに。


でも私の口から出てきた言葉は冷たかった。


わかっていた。わかっていたはずなのに。


心の奥で少し、期待していた。

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