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千分の一話噺

第500章 アミーゴ!


「コラッ!ダメじゃないかっ!」
「えっ!?」
私は突然怒られた。

見ず知らずの派手な帽子を被ったオジサンに…。

「…誰?」
「誰?じゃない!
毎日会ってるだろ!?」
こんなオジサン知らないよ。
「本当に知らない!」
「この帽子を見ても分からんかっ!?」
やけに派手で大きな帽子だけど…。
「…これって?メキシコの帽子?」
「そうだ!メキシコと言えば~ぁ!?」
言えばって言われても…。

「…メキシコ?…もしかして…サボテン?」
「ピンポ~ン!大正解!
私はサボテンの精霊なのだ!
毎日会ってるだろっ!?」
確かに小さなサボテンの鉢植えはあるけど…。
「え~ぇ!あの可愛いサボテンの精霊がオジサンな訳ないじゃん!」
「なんだとっ!誰がオジサンだっ!?」
どこからどう見てもオジサンにしか見えない。
「サボテンの精霊だって証拠あるの?」
「当たり前だぁ!これを見ろっ!」
オジサンが出したのは、…ポンチョ?
派手な柄が入ったメキシコのお土産みたいなポンチョを着て、マラカスをシャカシャカと鳴らした。
「どうだ?分かったかぁ!」
…いや、それが何?

「…分かったわよ
じゃあ、その精霊が何の用よ!」
「そうだ!何で私を陽に当てないっ!
このままでは死んでしまうだろっ!」
…ん?陽に当てろ?
「あっ…そうか、植物は陽に当てないといけないんだった…忘れてたわ」
「忘れんじゃない!
死んだらどうするっ!」
オジサンはマラカスを振り回して怒っている。
「はいはい、ごめんなさい!」
私はすぐにサボテンを陽の当たる場所に移動した。
「これでどう!?」
「アミーゴ!これから毎日ここに置いてくれよ」
オジサンはシャカシャカとマラカスを鳴らしながら消えていった。

「何だったの?今の…」

それから、オジサンは事あるごとに出てくる様になった。


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