第495章 異世界アパート10
恵方巻きを食べながら、異世界の事を考えていた。
(あっちもやっと雪が降り始めて長い冬に入った…
考えてみれば、私がこのアパートに入ってもうすぐ一年かぁ…
あの時はとんでもないアパートに入っちゃったと思ったけど、今ではここでよかったと思う)
恵方巻きを食べ終えると、田舎から送ってくれた林檎を風呂敷に包んだ。
「風呂敷なら向こうに持って行っても問題ないわね」
これから毎週末に1ヶ月くらいづつ向こうにいれば、やっと季節感が合わせられる。
ドアを開けると雪がちらついていた。
「やっぱり降ってるんだ…」
早速、林檎をナタリーにお裾分け…。
「ナタリーいる?」
ドアが開くと…。
「にゃ~♪」
「猫?」
ナタリーの腕の中に可愛い猫がいた。
「ちょうど良かったわ
ちょっとお願い!」
いきなり私に猫を押し付けて部屋の奥に行ってしまった。
でも、猫なんか飼ってなかったのに…?
「にゃ~♪」
「…可愛い♪」
猫の頭を撫でた。
しばらくしてナタリーがお茶を持って戻ってきた。
「ごめんね、ちょうどお湯を沸かしてたのよ」
「これ田舎から送ってきたからお裾分け…」
風呂敷ごと林檎を渡した。
「ねぇ、このニャンコどうしたの?」
「知り合いから三日間だけ預かったの…
可愛いんだけど、ちょっと目を離すと悪戯ばかりするから大変なのよ」
ナタリーは苦笑いだ。
「ねぇアヤコ、これ果物よね?」
風呂敷を開けたナタリーが首を傾げた。
「…林檎っていうのよ」
こっちには林檎はなかったみたいね。
end