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千分の一話噺

第490章 おばあちゃんの教え


うちのミュー(猫)は風呂敷にくるまれるのが好きだ。
まだミューが小さい頃、おばあちゃんが風呂敷にくるんでうちに連れてきたから、実家の様に思ってるのかも知れない。


「お主の恵方巻きと交換じゃな」


節分の日、おばあちゃんが突然やって来て私の恵方巻きを要求してきた。
「…な、何でそうなるん?」
あまりに理不尽な要求に私は恵方巻きを背中に隠した。
「お主、この子が欲しいんじゃろ?
その恵方巻きをわしに寄越せば、この子はお主のものじゃ」
数日前におばあちゃんちで見て一目惚れした子猫。
「うっ…でも…」
子猫も欲しいけど、恵方巻きを取られるのは嫌だった。
「おばあちゃんのいけず!
私が恵方巻き大好きなの知ってるやんっ!」
私は涙ながらに訴えた。
「知っておるよ…だからその恵方巻きと交換なんじゃ
…良いか、動物を飼うということはお主がこの子の親になると言う事じゃ
自分の好きな事を我慢してでもこの子のために成す事が出来ん様では、この子は任せられんな…
その覚悟がお主にあるのか?」
その時のおばあちゃんの目が怖かった。

私は泣きながら恵方巻きをおばあちゃんに渡し、風呂敷にくるまった猫(ミュー)を受け取った。
「みゃ~♪」
風呂敷から顔だけ出して一声鳴いた。
泣いている私を励ましてくれた様に思えた。

end
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