• テキストサイズ

千分の一話噺

第489章 採用試験


ここは鬼ヶ島。
そう、あの桃太郎が鬼退治と称して極悪非道の限りを尽くした場所だ。
働き手を失い、貯めておいた財宝も奪われた。

しかし、僅かだが逃げ隠れた鬼達がいた。



あれから数百年…。

すっかり復興した鬼ヶ島は、温泉とアミューズメントパークを合わせた『オーガランド』を開園した。
地獄巡りコースターや血の池温泉などがたくさんのアトラクションがある。
人気キャラクターによるイベントも多い。
メインキャラクターは、もちろん赤鬼と青鬼。
他にはグレムリンやゴブリンやコボルトなどの西洋鬼もいる。
あの鬼界のスーパースター酒天童子も隠れキャラでいると噂される。 

そんな人気キャラクターになるには鬼と言えど採用試験がある。
その試験とは…。

「さあ!野郎共!
今日は待ちに待った節分だぁ!
思う存分、楽しんでくれっ!」

園内のアナウンスにも熱が入いる。

「桃は~外!、福は~内!」

桃太郎のお面を被ったキャラクターが逃げ回り、来園者が豆(の代わりのボール)をぶつける大人気のイベントだ。
その逃げ回るキャラクターが採用試験だ。
豆を投げられた数や当てられた数によって採用が決まる。
豆を投げられないのは、そとそも人気者になる素質がない。
当てられてばかりでは、イベントととして面白味がない。
そのバランスが良ければ採用される。

この豆まきイベントは、若手の鬼には熾烈を極める壮絶な生き残り試験なのだ。


end
/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp