第488章 異世界アパート9
「…クシュン!」
新年早々、風邪を引いたようだ。
「今、病院へ行ったら隔離されちゃうかな?」
そう、まだ新型ウイルスが蔓延している世の中…。
「あっ、そうだ!」
私はあることを思いだし、すぐに準備を済ませて異世界へ行った。
「良い天気!」
こっちの季節は秋真っ盛りで、一番過ごしやすい季節だ。
「…クシュン!
…ローズさんとこ行かなきゃ!」
ローズさんはグランロールスでも有名な魔法使い、私の花粉症を魔法で治してくれた。
ローズさんちは街の中心に近い高級住宅地にある。
何でも国の重要な仕事もしてるらしい。
「ローズさん、居ますか?」
「あら?アヤコ、どうしたの?」
私は風邪を引いた事を話して魔法で治せないか聞いた。
「そうね、ちょっと待ってて…
あっ、これでも食べてて…」
ローズさんはお皿に赤い食べ物を乗せて私に出した。
見た目はタラコか明太子の切り身?みたいな形をしている。
「えっ?甘い!」
プチプチした食感だけど甘酸っぱくて美味しい。
何かの果実みたいな感じだ。
異世界にはまだまだ知らない事が一杯あるわ。
「アヤコ、魔法よりこれが良いわよ」
戻ってきたローズさんは拳くらいの丸い石を出した。
「これはなんですか?」
「治療石よ
身に付けていると身体の悪い所を治してくれるの…
軽い症状の病気なら魔法よりこっちの方が副作用がないから良いのよ」
ローズさんの説明に私は驚いた。
「えっ?魔法って、副作用があるんですか?
この前の治療の副作用って…?」
「この前のは大丈夫よ
副作用は重い病気や大怪我を治した時にたまに出るのよ
でも、副作用と言っても髪や瞳の色が変わるくらいだから…」
ローズさんは笑って答えた。
(…いや、髪は染められるけど瞳の色が変わったら元の世界に戻れないわ)
私は副作用が出なくて良かったと思った。
end