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千分の一話噺

第482章 お年玉


正月の朝は忙しい。
妹家族が来るまでに晴れ着を母親に着付けしてもらわないと…。

「振り袖着せるのも今年で最後ね」
母親が着付けをしながら呟いた。
「えっ?何で?
私まだ結婚しないわよ」
私は首を傾げる。
「はぁ…、結婚で着れなくなる方が良いわよ
振り袖は適齢期を過ぎたら着ないの!
まあ、最近は適齢期なんてあってないようなものだけど、これ以上振り袖を着付けする程、私は恥知らずじゃないわよ」
母親はかなり怒っている様だ。
「…すいません」
私は返す言葉がなかった。


「はい、お年玉♪」
妹の娘、姪っ子はまだ五歳。
「わたし、イチゴの方がいい!」
妹がお土産で持ってきたイチゴに惹かれていた。
五歳児にはお金よりイチゴだよね。
「お姉ちゃん、まだ振り袖着るの?
いい加減、諦めたら?」
妹に笑顔で嫌味を言われた。
「…お母さんにも言われたわよ
着付けは今年で最後だってね」
私は苦笑いで返した。

「はぁ…、妹にも言われるとは…」
私が落ち込んでいると…。
「おばちゃん、お年玉♪」
姪っ子がイチゴを私に差し出した。
「…おばちゃんねぇ
ありがとう♪」


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