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千分の一話噺

第480章 幼なじみ?


「お~ほほほほほっ!
今度こそ、私が勝ちますわよ!」
今時、こんな笑い方で登場する奴を俺は一人知っている。
「しつこいぞ、宝蔵院麗花!
何度やっても結果は同じだ!」


宝蔵院家は旧華族の名家で、世界でも有数の超大金持ちだ。
麗花はその宝蔵院家の一人娘、生粋のお嬢様なのだが幼なじみの俺を目の敵にしていた。

幼なじみと言っても本当に家が隣だっただけで、俺んちは平凡なサラリーマン家庭だ。
しかし、何故か俺の両親と麗花の両親は仲が良く、小さい頃は麗花とも仲良く遊んでいた。

関係が変わったのは中学生の頃か…。

俺は地元の公立だが、麗花はさすがに有名私立に進学した。
それでも休日とかは家族一緒で食事したり遊んだりしていたが、ゲームでもスポーツでも麗花は俺に勝てなかった。
麗花が高飛車なお嬢様キャラになり始めたのはこの頃だ。
「私があなたごときに負けるはずがありませんわ!」
「だったら、何でも勝負してやるぜ」
「き~っ!悔しい!」
いつしか悔しがる麗花の顔が俺の癒しになっていた。
麗花は事ある毎に勝負を持ち掛けてきては惨敗するのを繰り返す。


「今回は負けませんわ!」
アイススケート場を貸し切って、フィギュアスケート対決をすると言い出した。
「…お前、アイススケート出来なかっただろ?」
「…そんな昔の事は忘れましたわ」
いやに自信満々なのが怖いな。

「私の華麗な滑りにひれ伏すがいい、ですわ!」

確かに滑れる様にはなっているが、お世辞にも華麗とは言えない。
「…やれやれ、俺でもこれくらいは出来るんだぜ」
ジャンプは無理だが、2~3回転するくらいなら出来る。
「…どうだ?お前、回れるか?」
「そ、それくらい…
キャアァァァ~ッ!」
俺の勝ちは間違いなかった。
「また遊んでやるよ」
「き~っ!悔しいぃぃぃ!」
この悔しがる顔が最高だ。


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