第479章 聖夜に響く…
隠れ家に向かう路地裏で仮面を着けた男が俺の前に立ち塞がった。
「…やっと見付けたぜ」
「…ピエロに知り合いはいないが?」
ふざけた仮面とは裏腹に、その只者ではない雰囲気に気を抜くとこは出来ない。
男はおもむろに仮面を外した。
「久しぶりのご対面だと言うのに冷てぇな
しかし、こんな所にボーナスが転がってるとは…な」
街灯に照らされ、見覚えのある顔が露になる。
「貴様か…
よく此処を嗅ぎ付けたな」
奴の執念深さには、さすがの俺も呆れるくらいだ。
「ガセネタばかりだと思ったが当たりだったぜ」
伊達に猟犬と呼ばれている訳ではないな。
「貴様の顔もそろそろ見飽きた…」
「だったら、てめぇを地獄のクリスマスパーティーに招待してやるぜっ!覚悟しなっ!」
奴は銃を抜き、俺に吠えた。
(もうクリスマスか…)
俺はそんな事さえ忘れていた。
まぁ、こんな腐ったスラムにクリスマスなんて無縁だからな。
「それじゃあ…
パーティーを始めるかっ!」
俺は身体を右に倒しながら銃を抜いた。
お互いの銃口が火を噴き、硝煙の臭いが漂う。
奴の銃弾は俺の左肩を掠めた。
「…また生き残ったか
サンタが味方してくれたようだな」
奴は腹を押さえながら膝から崩れ落ちた。
「プレゼントだ
恨むんならサンタクロースを怨みな」
俺は奴の頭に銃口を向けトリガーを絞る。
クリスマスで浮かれている奴らが鳴らすクラッカーのような乾いた音が響いた。
end