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千分の一話噺

第471章 ヒーロー


今年も奴がやって来た。
遥かなるフランスから…。

白いマントをなびかせて、真っ赤な全身タイツに青い仮面!
誰が呼んだか?呼ばないか?
一体こいつは誰なんだ!?
何処の誰だか知らないが、人の迷惑顧みず、高笑いと共に颯爽と登場!


「わははははははははははっ!
我は、正義の使者ボジョレー・ヌーボーマン!
正義の名の元、悪は絶対許さない!」
 

突っ込み所が満載過ぎて、誰もが口をポカンと開けて呆れ返っていた。

この自称正義の使者が現れたのはバブル全盛期…。
日本人が世界中に金と恥をばら蒔いていた時だ。
今から30年以上も前のはずなのに、今も当時と変わらぬエネルギッシュさ。

「そこのお前!信号無視は悪だっ!!
喰らえ!ボジョレーパーンチ!」
「ゴミのポイ捨て禁止が目に入らんか!!
必殺!ヌーボーキーック!」

小さな悪にも容赦しない。
もちろん警察は黙っていない。
毎年、警察VS正義の使者が繰り広げられる。

「わはははははははははは!
甘い!甘いぞ!
日本警察の正義はそんなものか!?
正義は力で示せ!」

相も変わらぬ高笑い、有無を言わさぬ圧倒的なパワーで警官隊を蹴散らして何処かへと去っていく。

「そこのカップル!
…幸せになれよ」

去り際にカップルを見付けると必ずこのセリフと、何処からかボジョレー・ヌーボーを取り出しプレゼントする。
一部のファンからは『縁結びの使者』と呼ばれている。

end
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