• テキストサイズ

千分の一話噺

第464章 満月には…


今宵は…。

「ふふふっ…
早く夜になれ!今夜は収穫祭よ!」

こいつはたまに変な事を言い出す。
「何の収穫祭だよ」
「人間に決まっているじゃない…
あなたには言っておいてあげる
私は満月の光を浴びると変身するバンパイア族の末裔なの」
「はいはい、バンパイアやね…
でもお前、十五夜の時一緒に月見したよな
あれも満月だと思うが?」
「…あれ?そうだっけ?
ほ…ほら……十五夜って特別な月だから変身出来なかったのよ」
見苦しい言い訳が出てきた。

「ふ~ん、じゃあ今夜は変身するところが見れるんだな?」
「あ、当たり前じゃない!
バンパイアなんだから!」
むきになる所は可愛げがある。
「狼男…いや、狼女になるんだろ?」
「そうよ!狼女になったら、あなたから食べてやるんだからね」
なんとなく魂胆が見えてきたな。
「まあ、待て…
俺より美味いものがあれば助けてくれるのか?」
「そうね、A5ランクの和牛とかあれば助けてあげる」
なるほど、今夜は焼き肉が食いたいって事か。

しかし、A5ランクの和牛はちと高いな。
「A5の和牛は俺の収入じゃあ無理だな…
仕方ない、黙ってお前に食べられてやるよ」
「えっ?え~と、じゃあ普通の焼き肉で見逃してあげる」
一気にランクが下がった。
「それじゃあ、今夜は焼き肉食べに行こうか」
「うん!やったぁ!焼き肉だぁ!」
「…子供か!?」
まあ、これだけ喜んでくれるなら焼き肉くらい安いもんだ。

「でも、狼女に変身する時は服が破れるんだろ?
それは見たかったな」
「この変態オヤジ!」

今宵は満月、彼女は狼女になった。

end
/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp