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千分の一話噺

第463章 遭難


募金で貰えるあの赤い羽根には誰も知らない特別な羽根がある。
私は子供の頃、遠足先で目撃してしまった。


私は遠足で行ったとある山で一人迷ってしまった。
ハイキングの途中で突然濃霧が発生し、先生もクラスメートも誰も見当たらなくなった。
手探りで歩き回っていたら、小さな山小屋を見付けた。
「すいません…誰かいませんか?」
山小屋に誰もいなかったが、霧が晴れるまで小屋の中で休んでいた。

「…ん、…う~ん」
いつの間にか寝てしまった。
「もう、夜?…どうしよう
みんな心配してるよね…」
その時、小屋のドアが開いた。
「きゃ~っ!」
「…誰だ?お前は?」
ランタンを持ったおじいさんが入って来た。

私は道に迷ってしまった事を話した。
「そうか…まあ、いいか…
せっかくだから面白いもの見せてやろう」
おじいさんは「こっちだ」と手招きした。
恐る恐る着いていくと、明るい場所に出た。
「…ここは?」
「月浴場と言ってな、月の光を浴びる場所だ…
あそこを見てみなさい」
おじいさんが指差した方は、一面真っ赤に染まっていた。
「綺麗…おじいさん、これは?」
「これは赤い羽根だよ」
「赤い羽根って、募金で貰える?」
「そうだよ、十三夜の月の光で染めると幸運の赤い羽根になるんだ…」
「幸運の羽根?」
「そう、この羽根を貰った人は幸せになれるんだ
でも、この事は秘密だよ」
おじいさんは優しく笑った。

この後、私は救助されるのだが、この山に山小屋はないと言われた。
あれは夢だったのだろうか?

でも、あの時私は赤い羽根を握っていた。


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