第460章 世界の成り立ち
「う~ん、今夜のおかずは何にしようかしら…」
スーパーの食品売場をあっち行ったりこっち行ったりと、うろうろしながら考えていた。
「野菜は高いままね…
秋刀魚も高いし、困ったわ…」
一人暮らしだからたくさん買い込む訳じゃないけど、やっぱり安いに越したことはない。
「いや、参ったな
何でこんな高いんだよ」
食品売場を行ったり来たりしたが、なかなか買うものが決まらない。
「インスタントラーメンばかりじゃあ、栄養偏るしなぁ」
外食やコンビニ弁当なら楽なんだけど、そんな余裕はないし、自炊するのも楽じゃないな。
「「今日は冷凍食品かな?」」
「「えっ?」」
二人の声がハモった。
「あっ…あはは…」
男は照れ笑いした。
「あっ…ど、どうも…」
女は軽く頭を下げその場を離れた。
「あ~びっくりした
何なの…今の…」
ちょっと他見てから冷凍食品売場に戻ろう。
「まさか、こんなところでハモるとは思わなかったな
まあ、とりあえず餃子にパスタと炒飯だな」
冷凍食品を幾つか選びカゴに入れた。
「袋はご利用ですか?」「袋は…」
「「大丈夫です」」
二つ隣のレジでまたハモっていた二人だが、それは気が付かなかった様だ。
二人にしてみればほんの一瞬の接点で二度と会うこともないのだが、この事実がなければ世界はまた違う景色になっていたのかも知れない。
良くも悪くも世界はその一瞬の積み重ねから成り立っている。
そこには偉人も有名人も普通の人も関係なく、生きてる人全てが関わる世界なのだから…。
end