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千分の一話噺

第459章 魔王物語2


「やはり私も着いて行くべきでした」
ドロンは後悔していた。
「しょうがないだろ?『鳥栗鳥取』って聞こえたんだから…」
結局、魔王ヒィンは一年待つ事になった。


「Trick or Treat!」

魔界の扉が僅かに開いた。
「えっ?この隙間通るの?」
開いた隙間を通るには魔王の鎧のままでは絶対に抜けられない。
ヒィンは鎧兜を外し、スウェット姿になった。
「…これで人間界に行くのかよ
まあ、向こう行ったら魔法で出せばいいか…」
ヒィンは魔界の扉を抜けた。


「ここが人間界か?」
ヒィンは扉を抜けると鎧兜を身に付け降り立ったのは日本の秋葉原、仮装ハロウィンパーティー真っ最中のど真ん中。
ど~んと黒煙纏って現れたヒィンにパーティー会場にたコスプレーヤー達は一瞬静まり返った。

「…なんだ?」「…あれ誰?でも…」
「すっげぇ~!」「かっけ~!」「魔王降臨だぁ!」

すっかり主役扱いになってしまった。
「ふ、ふふふっ!余は魔王ジャック・ヒィン!
人間界は余が支配する!」
「うおぉぉぉぉぉ~っ!!!」
パーティーは最高潮に達し、ヒィンも良い気分でパーティーを楽しんだ。

「いや~、あの魔王役の人良かったな!」
「…けどあんな人、誰が呼んだんだ?」
「…さあ?」
パーティーの企画者達は首をかしげた。

「人間界ってこんなに楽しい世界だったのか…
余が聞いていた世界とはだいぶ違うな
しかも、魔族みたいな格好してる奴もたくさんいるし、これなら支配も簡単じゃないか?」
ヒィンが聞いた人間界は1800年前の話し…。
仮装パーティーなんて知るよしもない。
「まず、あいつ等を余の手下にして…」
「あっ!さっきの魔王だ!」
「いや~よく出来てるね、それ」
「とりあえず、飲もうぜ!」
あっという間にコスプレーヤー達に囲まれ酒盛りとなった。
「ひっく…余は…魔王だぞ…
おら~っ!矢でも鉄砲でも持ってこ~い!」
すっかり出来上がってしまった。


その頃、魔界のドロンは心配していた。
「ヒィン様、扉がもうすぐ閉まるって事、覚えておられるかな?」
その心配は的中し、扉は閉まりヒィンは魔界に戻る事が出来なくなった。

「人間界最高!」
ヒィンは人間界で暮らす事となった。

end
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