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千分の一話噺

第456章 空飛ぶ…


21XX年、空飛ぶ車に続き、遂に空飛ぶ鉄道が実用化された。

線路を敷く事もなく、踏み切りもいらない。
こうなると果たして鉄道と呼べるのか疑問ではあるが…。
しかし、離着陸が必要な為、各駅停車には使えず、特急電車の代わりとして運行され、通常の電車と併用する事で混雑は半減し快適な交通手段となった。


「早く起きなさいっ!
遅刻するわよ!」
いつもの様に母親の怒鳴り声で飛び起きる。
「…あっ、今日はリモート授業の日だよ」
「えっ、そうなの?昨日のうちに言いなさいよ!
お弁当作っちゃったじゃない…」
「いいよ、昼に食べるから…」
「じゃあ、さっさと朝ごはん食べちゃいなさい」
朝食を食べてから、パソコンを立ち上げリモート授業の準備を始める。

一世紀前に世界中で大流行した感染症のおかげで、学校の授業の半分がリモートで行われる様になった。
「学校行かなくていいのは楽だけど、休み時間に友達と話せないからつまらないんだよな」
リモート授業は午前中で終わるので、昼に弁当を食べる。
「…午後は塾行かなきゃな」
リモート授業の日は塾が必ずセットになっている。
児童や教員の減少に伴い、学校と塾が協力しあって教育をするシステムだ。
「じゃあ、塾行ってくる」
「忘れ物ない?パラシュートちゃんと持ったの?」
「大丈夫だよ、行ってきま~す!」
塾には空飛ぶ鉄道で行く。

この空飛ぶ鉄道には今までにない自由降車が認められている。
目的地に近い場所で飛び降りて良いのだ。
もちろん専用パラシュートを持っている乗客のみであるが…。
初めは尻込みしていた乗客も今では普通に飛び降りる様になった。

空を見上げれば、そこかしこでパラシュートの花が咲く時代になった。

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