第46章 ヴィーバージョン
その事件は学園祭で起こった。
学園祭、それは学生にとって楽しみにしているイベントの一つだ。
しかし、それはある事をきっかけに凄惨な事件へと発展した。
きっかけは体育館で起こった。
学園祭にライブは付き物。
体育館では幾つかの学生達のバンドが演奏していた。
そして、六番目に登場したバンド“ヴィーバージョン”が演奏を始めた。
「おい、あいつらどこのクラスだ?」
「うちの学校にあんな格好良い男子いた?」
体育館がにわかにざわつき始めた。
しかし、音が体育館を支配すると同時にざわつきもなくなり、しんと静まり返っていった。
演奏はサビに入り過激になると、そこにいた全ての観客が狂ったように暴れだした。
隣同士で殴り合い、パイプ椅子を振り回し、誰彼構わず襲い始めた。
体育館全体がまるで地獄絵図の如く狂気に満ちていた。
そんな中でもヴィーバージョンは演奏を止めるどころか、更に過激な演奏を続けた。
「コロセ…コロセ…スベテヲハカイシロ…」
誰ひとり立っている者がいなくなると演奏は止みヴィーバージョンは忽然と姿を消した。
警察が来た時には、何人かが血を流しながら呆然と立ちすくんでいた。
「何があった!?」
「…」
警察の問いに答える事も出来ずに病院に運ばれて行った。
死者が出なかったのが奇跡的に思える凄惨な現場だった。
「ツギハ、ドコヘイコウカ…」
end