• テキストサイズ

千分の一話噺

第451章 実験


「くっ、苦しい…!
身体が…身体が焼けるっ!
ぐあぁぁぁぁぁっ!」
拘束された男は息絶えた。
「はぁ…また失敗か…」
白衣を着た男が溜め息混じりに呟いた。

マッドサイエンティスト。

天才と言われた彼は、今まで誰もなし得なかった研究を次々と成功させ、その名は一躍世界中の知るところとなった。
しかし、彼は禁断の研究に手を染めてしまう。
「こ、これは…」
初めての挫折だった。

彼は変わった。
否、取り憑かれたと言った方が合っている。
今までの全ての研究も栄誉や名声も投げ捨て、その禁断の研究に没頭した。
「…もっと実験体が必要だ」
彼は持てる知識を注ぎ込み、僕となる者を作り出した。
何人かいた助手の脳に直接通信チップを埋め込み意のままに操る。
それらに命令し、実験体となる人間を集める。

「次だ…」
新たな実験体が彼の前に連れて来られた。
「や、止めてくれ!
俺が何したって言うんだ!?」
「君はこれから世紀の実験を体験出来る栄誉を与えられた…
成功すれば君は素晴らしい力を手に入れる…
成功する事を祈るんだな」
彼は無表情なまま、薬剤を実験体に注入した。
「…また駄目だったか
何がいけないんだ!?」
彼は満月を見上げ拳を握り締めた。

彼が挑む禁断の研究とは…。


『フルムーン・スイッチ・シンドローム』


「満月変化症候群」、満月時の重力変化と月に反射した太陽光に発生する特殊な波光、それに反応する細胞因子が活性化する事で身体が変化する症状。
古くは『狼男現象』と呼ばれ、禁断の研究とされてきた。

end
/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp