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千分の一話噺

第447章 コンテスト


『青空と
  
  菊の花びら
  
   盃に

  浮かべて愛でる

   重陽の節句』




「惜しかったね」
「ん?別に賞が欲しくて詠んだ訳じゃない」
9月9日は重陽の節句ってこともあり、短歌のコンテストが行われた。
趣味と言う程ではないが短歌や俳句を時たま詠んでいるからと、彼女がこのコンテストに応募しろと煩かったので出しただけ。

別に誰に習った訳ではないし、誰かの為に詠んでる訳でもない…、実は好きと言う訳でもなかった。
何か気になる物を見付けると、降りて来ると言うか、思い浮かんだフレーズを書いているだけだ。
まぁ文字数の事があるから、それに合わせる様に言葉を替える事はあるが…。

今回のコンテストの様に決まったお題とかで詠む事はまずない。
だから、端なっから賞の期待はしてなかった。
しかし、彼女は…。
「私は良いと思うんだけどなぁ
せめて入賞してれば、グルメセットだったのに…」
と、悔しがっている。
『重陽の節句』は秋の収穫期と重なるので、『栗の節句』とも言われていて、入賞の景品には秋の果物や和牛などがセットで貰える。
どうやら、それが彼女の本当の目的の様だ。

「あっ、そうだ
あの優勝した短歌に出てくる『玄月』って何なの?」
「あぁ、旧暦の9月の事だよ
有名なのは長月だけど、他にもいろんな呼び名があったみたいだ」
「ふ~ん、いろいろ難しいんだね」
「まあ、本格的にやってる人には敵わないさ」
「あわよくば、和牛一年分だと思ったのに…」
更に上の景品を狙っていた様だ。

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