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千分の一話噺

第444章 新時代


「パソコン?
そんな訳の分からん機械いらんわ!」

20XX年、IT後進国になっている日本を改革するべく、政府は五歳以上の国民全員にパソコンを配った。
政府が専用に作らせたパソコンで、マイナンバーと連動されている為、国民の監視を目的としたパソコンだと揶揄されている。
もちろん、そんなパソコンだから売買したら即逮捕となる。

「おじいちゃん、これからはパソコンがないと何も出来なくなるのよ」
「そんなもんなくとも、生きていけるわ!」
頑固な老人はどこにでもいるものだ。
「もぅ…、いい?役所や銀行なんかもみんなこのパソコンからしか受付ないのよ!
そのうち、買い物だってオンラインしかなくなるんだからね」
政府は少子化による人口減少に歯止めが効かない事から、全ての店舗を廃止、通貨の発行もなくし、全ての売買をデジタル化する計画を立てた。
店舗や販売に関わる人員を、生産や流通に回す為だ。
店舗の代わりには、自動販売機が乱立する事になる。

「なんじゃと!?買い物も出来ないのか?」
「自販機はスマホで買えるけど…、おじいちゃん、スマホも持ってないでしょ」
「当たり前じゃ!何で電話なんかを持ち歩かなきゃならんのだ!?」
頑固もここまでくれば大したものだ。
「いいの?おじいちゃんの好きなマスカット、これから食べられなくなっちゃうわよ」
好きな物を餌にするのは時代が変わっても有効である。
「うっ…マスカットも食べれんようになるのか…」
「だから、パソコンもスマホも覚えようね」
頑固な老人も心が折れた様だ。

end
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