
第440章 夏休み

今年の夏休みはどこへも行けず、家で過ごすしかないのか?
暇を持て余した俺は、貴史の家に遊びに来ていた。
「くそっ!こうなれば、俺の超能力でコロナを撃退してやる!」
「はいはい、分かった分かった」
貴史はいわゆる中二病をこじらせていて、今は超能力を使うヒーローになっている。
「俺の超能力が効かないとは…
これではハワイにも行けない…」
「ハワイって…、まあ旅行は厳しいよな
海へ行っても、海の家はやってないみたいだしな」
「海の家?
海岸に家建てるのも悪くないな」
「…それより蚊がいるみたいだから、蚊取り線香点けてくれよ」
「蚊取り線香?何だそれは?」
貴史は首を傾げた。
「緑色で渦巻きの奴だよ」
「緑の渦巻き?何か悪役怪人みたいな奴だな」
「本当に知らないのか?
確かに最近は蚊取りマットやスプレーが主流だけど…」
蚊取り線香離れってやつか…。
貴史はおもむろに立ち上がると…。
「じゃあ、ちょっとタクシーで買いに行ってくるよ」
「ちょっと待て!何でタクシーなんだよ!」
「今、運転手が夏休みでいないんだ」
まったく、これだから金持ちは…。
貴史は日本有数の大企業の御曹司ってやつだ。
「すぐ近くにドラッグストアがあるだろ?」
「あんな小さな店に売ってる物なのか?」
「お前なぁ、どこに買いに行く気だ?」
「買い物と言ったら百貨店に決まっているだろ
そうだ、外商に持って越させよう」
「やめやめ!俺がドラッグストアで買って来るよ」
「なら、俺も着いてく
どんな店か見てみたいしな」
「庶民の店なんだから、あまり偉そうにするなよ」
俺と貴史は近くのドラッグストアへ向かった。
「へ~、ドラッグストアと言うから薬だけなのかと思ったが、結構いろんな物が売ってるんだな」
「最近のドラッグストアはちょっとしたスーパーみたいなもんだ」
「この程度なら店ごと買おうか?」
「やめんか!
蚊取り線香だけで良いんだよ」
俺は蚊取り線香を手にし、レジへ向かおうとした。
「これ花火なのか?」
貴史が花火セットを見付けた。
「今年は祭りも花火大会も中止だし、これでもやるか?」
「こんな小さい花火より、デカい花火打ち上げようぜ」
「はあ…、それが出来れば中止になってねぇよ」
結局、花火セットも買って帰った。
「おお!これはっ!
こんなに面白い花火大会があったんだ!」
「…大会じゃないけどな」
end
