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千分の一話噺

第437章 流行り廃り…


アイポンが2007年に発売されると、若者を中心にそれまでの携帯電話からスマートフォンに切り替えられていった。
「これからはスマホだよ」
「もうガラケーなんか使えないね」
瞬く間に世の中を浸透し、スマートフォン時代を創った。

あれから半世紀…。

『アイポン51、本日発売!』
新型のアイポンが発売されたが、興味を持つのは60代以上の高齢者だ。
「これが最後のアイポンになるのか…」
「昔はアイポンの発売となると行列が出来たもんじゃ…」
老人が残念そうに、懐かしそうに言う。

そう、今やスマートフォン時代は風前の灯火になっていた。
以前から、ネットでのフェイクニュースの多さや動画クリエイターの質の低下、無くならない誹謗中傷などで若者がスマートフォンから離れ始めていた。
そこにリアルとバーチャルを融合出来る携帯VR端末が登場したものだから一気に乗り換えられてしまったのだ。

このVR端末は眼鏡型で実際に見ている風景にバーチャルな画像を乗せられるので、対面している人の姿を動物やモンスターに変える事も出来る。
さながら異世界にいる気分になれる。
もちろん電話も出来るし、ネットも繋がる。
この眼鏡を掛けていれは空間にキーボードやネット画面を出して文章のやり取りやテレビを見る事も可能だ。
「新型アイポン?
あんな時代遅れの代物、今さら使う奴いないよ」
「VRやったら、スマホなんかには戻れないね」
若者を中心にVRが主流になっていった。

あれから半世紀…。

もはやVRも若者は見向きもしない。
そして新たな携帯端末が…。

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