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千分の一話噺

第436章 神社の怪談


私達は夕涼みがてらオープンテラスのカフェに行き、私はマンゴー、旦那は宇治金時のかき氷を注文した。

かき氷がくる間に旦那が…。
「こんな話し知ってるか?
この近くに神社があるだろ?
あそこは戦国時代の古戦場で、たくさんの武士が戦で死んだ…
江戸時代になって平和になったけど、あそこで亡くなった武士達は霊になっても夜な夜な戦っていたそうだ
そこで神社を奉って霊を鎮めたらしい…」
その神社の話しは前に何かで聞いた事があった。
「…何それ?私を怖がらせたいの?
ふん、そんくらいじゃ怖がらないわよ」
私は鼻で笑ってやった。
かき氷が運ばれて早速口に運ぶ。
「う~ん、このマンゴーのシロップ美味しい♪」
旦那も宇治金時に舌鼓を打っていた。

「あぁ美味しかった♪」
かき氷を堪能した帰り道…。
「あの話しには続きがあるんだ
第二次大戦の時に空襲で昔の神社は焼けて今の神社になったんだけど、霊を鎮めていた御札も全部焼けちゃったから、戦があった夏になると落武者の霊が出る様になったって…
毎年、祭りをやるのは霊を鎮めるためなんだ」
もうすぐ神社と言う時にさっきの続きを言い出した。
「…ふ~ん、まだ私を怖がらせたいの?」
「今年はコロナのせいで祭りが中止だろ?
…ほら、聞こえないか?
刀で斬り合ってる音が…」
旦那の声色が変わった。
「な、何よ!何も聞こえないじゃない!?」
そう言って振り向くと、いるはずの旦那が見えなかった。
「えっ!?ちょっとぉ!どこ行ったのよ!」
目の前には神社の鳥居があった。
「こっちだ…」
鳥居の向こうに旦那が見えた。
「な…何…してるの?」
旦那はうずくまっている様に見えた。
「…これを」
振り向いた旦那が…。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

私は思わず叫んでしまった。
「…そんなに叫ばなくても?」
「わ、私が虫嫌いなの知ってるでしょ!?」
旦那の手には大きなカマキリが…。
「今時、オオカマキリなんて珍しいだろ
虫の侍みたいでカッコいいし…」
これだから男ってやつは…。

怪談なんかよりよっぽど虫の方が怖いわ。

end
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