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千分の一話噺

第429章 新兵器


『全機発進急げ!全機発進急げ!』

基地内に警報と発進命令が響く。

「じゃあ、行ってくる…」
「…ちゃんと帰ってきてね」
彼女の泣きそうな震える声、ぐっと堪えて見せる笑顔。
「大丈夫だ…」
俺は、これしか言えなかった。

基地の滑走路からは他の小隊が飛び立っていた。
俺は格納庫に急ぐ、

格納庫はもう戦場の様に殺気だった整備兵が慌ただしく走り回っている。
「こっちだ!早くしろっ!
他の小隊はもう発進してるぞ!」
俺達の第三小隊が最後の小隊だった様だ。

発進前に小隊長から…。
「俺からの命令だ…
全員、生きて帰れ!
第三小隊、出るぞっ!」
これが小隊長の最後の命令になるとは、その時俺は思っていなかった。

小隊長機を先頭に編隊を組んで敵に向かう。
「近いぞ!近接戦闘用意!
気を引き締めろっ!」
その時、先行していた小隊の無線が入った。
「なんだ?この煙りは?」
「何っ!?機関停止!?」
「隊長!機体がっ!?」
「動けっ!動けっ!」
何か敵の攻撃にあった様だが、無線の話しでは何があったのかまで分からない。
「全機撤退しろ!
すぐにこの煙りから離脱するんだっ!」
小隊長の機体は煙りに隠れていた。
俺達、第三小隊はすぐに反転し基地に戻った。
帰ってきたのは全小隊の三割程度、そこにうちの小隊長機はなかった。
「隊長…」

あの不気味な煙りが敵の新兵器なのは明らかだ。
人間も厄介な武器を作り出したもんだ。

end
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