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千分の一話噺

第426章 異世界アパート4


『今日の占い…
…座は、水に気を付けよう』
毎朝、テレビの占いを見てから出勤する。
「…週末なのに最下位?…気を付けよう」
しかし、占いに反して、仕事は無事に終了した。
「こっちの家事を片付けないと…」
あっちに行ってる間の時間は進まないけど、あっちに行ってる間にこっちで何するか忘れちゃうのよね。
やることをやってから行かないと、こっちの生活がぐちゃぐちゃになっちゃう。
「え~と、買い物はしたし、掃除洗濯やればこっちの家事は大丈夫よね」
ちゃちゃっと片付けて、早く向こうに遊びに行こう。


すっかりバカンス気分になって向こうに行った。
けど現実は、まだこっちの世界はやっと雪が溶け初め大地が見えてきたけど、まだまだ寒い日が続く。
「あっ、ナタリーおはよう!
今日も寒いね」
「何のんびりしてるのよ、ファラー川の川開きに行くわよ」
「…川開き?…あぁ~そうね、行きましょ」
苦笑いで誤魔化した。
元の世界に戻って一週間経ってもこっちでは一晩…。
先週来た時に明日は川開きがあるからって言われてたんだ。
「けど、川開きって何なの?」
「これから春になるっていうお祭りよ
ファラー川の漁や釣りが解禁になるの…」
ナタリーに説明されながらファラー川へ向かった。

川開きの会場は船着き場で、屋台も出て人も大勢きていた。
「うわ~♪賑やかね」
「アヤコ、せっかくだから水占いやってこうよ?」
ナタリーに引っ張られ川辺に連れて来られた。
「水占いって何なの?」
「これを川に浮かべて…」
渡されたのは紙で出来た舟だ。
「…見えなくなるまで沈まなければ、今年は良い事があるのよ」
「面白そうね…
それ、行けぇ!」
早速、渡された紙舟を浮かべた。
「あっ…」
と、いう間に沈んだ。
「え~!そんなぁ~」
「あらあら…、そういう時はこれよ」
「何これ?ホットドッグ?」
ナタリーから肉を挟んだ細長いパンを貰った。
「…ホットドッグって何?、これはファラーサンドよ
ファラー川の恵みに感謝しながら、黙って食べれば悪い事は起こらないわ」
「喋っちゃダメなの?」
「喋ってたら感謝してると思う?」
「確かに…」
私達はファラー川のせせらぎを聞きながら、黙ってファラーサンドを食べた。

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