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千分の一話噺

第412章 骨董屋


「バカ!その傘に触るな!」
いきなり店長に怒られてしまった。

今日は『棚卸し』で店を臨時休業としている。
棚卸しと言えばそれっぽいが、実際は単なる片付けだ。
別に在庫量だとか固定資産だとかなんて事を確認してはいない。
とにかく、店にも倉庫にも品物が雑多にあるので整理するだけなのだが…。

「何なんですか?この傘?」
倉庫の隅の隅、埃を被っている一本の傘。
「その傘はな…
呪いの傘なんだよ」
店長の言葉に耳を疑った。
「呪い?…傘にですか?」
「そう、その傘を使うと呪われるんだ」
店長はそういうとその傘を簡単に掴んで棚に納めた。
「えっ!?…呪われるんじゃ?」
「私は持ち主だから平気なんだ…
この傘はな、私以外が持つと雨男の呪いが憑く
だから、売れないんだ」
店長は苦笑いしていた。
「雨男の呪い?
出掛けた先で雨に降られるって事ですか?」
「そんな可愛いもんじゃない…」
店長はそれっきり傘の話題はしなかった。

「店長、これはどうします?」
「それは動かすな!」
また怒られてしまった。
「…これは何ですか?」
「これは要石だ」
「…かなめ?石?」
「要石はこの店の要だ
この石を動かすと店が崩れる」
店長は平然と言って退けた。
「…店が…崩れる?」
前から変な店だと思っていたが、まさかこんな物まで置いてあるとは…。

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